まるマッコリの日記(仮)

自分の思ったこと、好きなものを書いていきます。主に特撮やFGO。

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『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』感想 不妊治療は、決して男性とは無関係なんかじゃない。

突然ですが男性の皆さん

不妊治療について、どれだけの知識をお持ちですか?

 

ちなみに私はほとんど皆無でした。しいて言うなら、薬などが出されるのかな、という勝手なイメージがあっただけ。本当にお恥ずかしい限りです。

男性よりも身近に感じている方が多いのか、女性の方が、知識が豊富な方々が多数いらっしゃるようですね。凄いです…。

 

これから『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』の感想を書いていくわけですが、
子供を作る予定がある男性の方々には、「まずは映画を見て欲しい」という事は、
前もってお伝えしておきます。

こんなどこの馬の骨かも分からんようなブロガーの感想を読んで見た気になるよりも、劇場に足を運んでいただいた方が遥かに有意義です。今すぐ劇場にGO願います。

映画「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」オリジナル・サウンドトラック

hikitasan-gokainin.com

 

とにかく男性に薦めたい『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』。

以下感想をつらつらと。

 

 

右も左も分からない事のオンパレード

まずもって、不妊治療のその全てが、多くの男性にとっては未知の領域すぎる。何もかもが初めて見聞きする事ばかり。私も映画を見て驚きました。

初めに驚いたのは、女性の検査項目の多さ。何を確かめる検査なのか、映画で聞いただけでは理解が追い付きませんでしたが、A4の紙にいっぱいに描かれた検査項目に驚きました。

対して、男性の検査の少なさ。精子の検査ただ1つと驚くほどのシンプルさ。考えてみれば子供を作る際、男性は精子を出す以外に仕事が無いので、当然と言えば当然なのですが…。女性の検査項目と比較しちゃうと、申し訳ない気持ちにもなります。

 

いざ人口受精を行うとなっても、そこにはタイミングがあったり、また人工授精の種類によっては高額だったりと、次から次に知らない事実が明らかになっていきます。

かつてない出来事に直面するヒキタさんの姿に、観客としての私はときに笑い、ときに泣き、ときにはヒキタさんと同じように驚いたりと、非常に発見の多い映画でした。

「ヒキタさん!  ご懐妊ですよ」 男45歳・不妊治療はじめました (光文社新書)
 

 

 

女性は強い、そして脆い

最も驚いた事は、戸惑うヒキタさんに対し、奥さんは至って冷静なのですよ。まるである程度分かっていたかのように。そこに女性としての強さを感じました。

上手くいかない事が何度続いても、次、また次とチャレンジを重ねる。ヒキタさんも一緒に不妊治療を頑張っていた訳ですが、あの奥さんの強さがあってこそ継続できたのだと思います。

 

そんな奥さんが泣き崩れるシーン、たまらなかったです。黙って抱き留める事しかできないヒキタさんの姿にまた涙。

こんなに頑張っているのにうまくいかない。見ている私も悲しみでいっぱいになりました。

女性の強さと脆さを絶妙に表現した北川景子さんのお芝居に、ただただ痺れるばかりです。

北川景子2nd写真集『30』 (Angel works)

北川景子2nd写真集『30』 (Angel works)

 

 

 

肝心なところで無力な男性

何をするにも、より大きな負担がかかるのが奥さんという事実が、見ていて非常に辛かったです。奥さんの体は健康そのものなのに、ベッドに横になり、体に管を通す。

ヒキタさんの精子の活動が衰えている事が原因なのに、肝心のヒキタさんはただ待つだけ。できる事と言えば、食生活を改善したり、運動したりと、とにかく体に気を使う事ぐらいしかなくて。肝心なところでは、ひたすら祈るしかない。

あぁ、本当に、本当に男って重要なところで無力なんだなと思いました。「子供を作る」という行為は、どこまでも女性に負担がかかる事なんだなと。

どうしようも無い悔しさを滲ませる松重豊さんのお芝居も見事で、私も思わず、グッと拳を握ってしまう程でした。

 

 

映画が示す夫婦の幸せの形

おそらく現実には、もっとたくさんのご夫婦が「子供を作りたくてもできない」と頭を抱えているのでしょう。私には想像もできない苦しみの中で、必死に、懸命に活動されているのだと思います。

中々うまくいかない事に、気持ちが後ろ向きになっているご夫婦もいらっしゃる事でしょう。

…余計なお世話かもしれませんが、そんなご夫婦にも、この映画を見てほしいと思うのです。

 

映画では、ヒキタさんが無事に子供を授かって、「ハッピーエンド」という形で幕を下します。

しかし同時にこの映画では、子供が出来ることが幸せの全てではないし、子供ができない事が不幸でも無いという事を伝えているという事は、このブログで書いておきたいなと思います。

善とか悪でもない、子供とは「公平」なものなのだと。

 

映画の中で、6年もの間治療を続け、子供ができなかった夫婦が登場します。夫婦で決めた最後の治療も実を結ぶことは無く、肩を落とし病院を去っていく様は、グッと胸を締め付けます。

しかししばらくして、笑顔で町を歩く夫婦の姿が。当然子供はいませんでしたが、2人寄り添って歩く姿は、幸せそのものでした。

 

「子供がいなくても幸せになれる」とは言えませんが、「子供がいない幸せもある」とは言えると思います。2人の幸せは、2人で積み上げていくものです。この幸せに明確な解答はないのですが、気負わず柔軟に、そんな1つの解答をこの映画は示してくれていたかなと思います。

 

 

愛する人の為に見てほしい

若い人にも見て欲しいと思います。頑張る夫婦の姿を見ていただければ、関係なくとも、感動していただけると思います。

見ていただければ、きっと不妊治療の見方や「子供を作る事」の大変さが、少し理解できるかなと。

私は、この映画で全てが分かった気でいる訳ではありませんが、それでも、見て良かったと思います。

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重ねて申し上げます。

男性の方々、どうかこの映画を見てください。
よろしくお願いします。