バンカラ集団冒険活劇、ここに開幕!
少し前の話になりますが『劇団ヘロヘロQカムパニー第38回公演 冒険秘録 菊花大作戦』、鑑賞しました。
ヘロQとの出会いは『第31回公演 怪盗不思議紳士 twice』。上京して初めて見た生の舞台でしたが、こんな表現が舞台上でできるのかと感動しました。声優さんの舞台だと思って侮るなかれ。そこには役者達の表現に懸ける凄さや情熱が詰まっているのです。
一度見てもらえばその魅力を理解してもらえる事でしょう。
毎公演ごとに期待値高まる「劇団ヘロヘロQカムパニー」。舞台上で魅せる主催関智一さんのあっと驚く発想力に、きっと観客は度肝を抜かれる事間違い無しの約2時間!
最新作に用意された表現とはこれ如何に…!!
以下感想をつらつらと。
舞台は活気あふれる明治時代!
原作は横田順弥さんの小説『冒険秘録 菊花大作戦』。日本のSF作家、押川春浪率いるバンカラ集団「天狗倶楽部」が、誘拐された明治天皇を救う為に活躍する冒険活劇。
私は後で知ったのですが、大河ドラマ『いだてん』にも「天狗倶楽部」が登場したらしいですね。そうです、あのスポーツ社交団体「天狗倶楽部」が登場するのが、今回の『冒険秘録 菊花大作戦』です。
舞台を盛り上げる美しき講談師の勇姿を見よ!
開演前、長沢美樹さん演じる講談師、下神田美久里が劇場での諸注意を踏まえ、物語に関わる事柄の解説が行われました。途中で関智一さん演じる押川春浪(押川春浪を演じる関智一さん?)も登場され、この物語の舞台を分かりやすく解説。事前準備無しにチケットを予約していたので、助かりました…。
今回の公演では、この美久里の講談の下進行するのですが、これが中々に威風堂々意気軒昂、明朗快活拍手天晴な見事な御手前。ときに怪しく、ときにおかしく、そしてときに盛大に物語を盛り上げていく!その腕前や、さすがはヘロQの看板女優といったところでしょうか。いやー熱くなった熱くなった。
アニメのような派手な魅せ方こそヘロQ
ヘロQの舞台の魅せ方は、非常に「アニメチック」なのが特徴でして。冒頭の登場人物紹介が特に顕著。
舞台袖から役者が登場したかと思うと、バックスクリーンにはドドンっと筆文字で書かれた役名が表示され、舞台のど真ん中で役者がピシャリと決める。まるでアニメのオープニング映像さながらの演出が、これから始まる物語に対する観客の期待値を、ぐんぐんと、ぐんっぐんっと高めるのです。今回は美久里の講談も加わって、さらなる高揚感が観客の心を掴んで離さない。
いやーOPでのあの盛り上がり。ヘロQの熱量には、毎度毎度圧倒されます。
千変万化の舞台
舞台装置も特徴的で、いつもアッと驚く仕掛けが施されています。今回は舞台両端に回転ステージ、左上に小さなステージと舞台が様々に区切られており、物語の進行に合わせて、右に左に上に真ん中にと、様々な状態を見せてくれました。面積にしてみればとても狭い舞台のはずなのに、そこには無限の環境が広がっているのです。観客にその狭さを認識させないどころか、いくつものフィールドがある事が当たり前のように錯覚させる。繰り返しになりますが、舞台の面積はさほど広くない上に、当然1つなのです。
これぞヘロQの舞台!この熱量こそ彼らの真骨頂!!
物語終盤で行われるカーチェイスは、手に汗握る熾烈な展開でした。こんな熱い表現を、生で、至近距離で、目の前で見る事ができた事、非常に幸せでした。当然本物の車は登場しませんが、偽物と思わせないあの表現力。役者の技術が、情熱が、紛い物だと意識させる余裕を観客に持たせない。激しさを増すばかりの追い付き追い越せな競走劇は、ときに飛行機が加わり、ときに銃撃戦に変わりと、激しさと盛り上がりが増すばかり。これでもかこれでもかと、観客に、私達に熱をもって訴えかけてくる!
美久里の語りも負けてはいない!
えいやえいやと言葉に熱を込め、意気衝天と一言一句をもって観客の心を震わす。これぞ表現、これぞ舞台、これぞ「ヘロヘロQカムパニー」の演劇!
これほどまでに熱くなれる舞台は他に無い。これだけ熱くなれる舞台演劇こそ「ヘロヘロQカムパニー」の真骨頂だと再確認しました。
ラストはしっかし締める
ラストシーン、救われた明治天皇のお言葉は、「悪とは受け手が決めるもの」だという事を改めて気づかされたような気がしました。何を持って悪とするかは本人次第なのだと、もしかしたらこの世に悪という存在は無いのではないかと思わせる場面でした。
熱く熱く滾ったお芝居の後、ビシっと最後を締めくくるラストシーンは、非常に心に沁みました。
次回作は永井剛先生画業50年突破記念作!
「ヘロヘロQカムパニー」のお芝居は、毎度毎度驚かされます。舞台でこんな事ができるのか、そんな表現方法があったのかと、目から鱗の連続です。ヘロQの舞台を見る度に、お芝居の無限の可能性を感じてしまうのですよ。
驚天動地奇想天外。あっと驚く表現を見せた『冒険秘録 菊花大作戦』は、無事千秋楽を迎えたようです。
次回作は『マジンガーZ』。そんな馬鹿なと思わせる演目でも、ヘロQなら素晴らしいものを見せてくれる。そんな気にさせてくれるのです。
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ヘロQの舞台が気になった方は、DVDでも鑑賞できます。オンラインショップにて、過去作のDVDを販売しているので、気になった方は是非ご覧ください。
DVDも良いですが、機会があれば、ぜひ生の舞台をご覧になってください。きっとご満足いただけると思います。
ヘロQの次回作を震えて待て!マジーン、GO!!