まるマッコリの日記(仮)

自分の思ったこと、好きなものを書いていきます。主に特撮やFGO。

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亡き友との対峙、暴君と賢王の狭間に思いを馳せる。 『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』第5話「ギルガメッシュ紀行」感想

出会い

私の始まりは『Fate/Zero』。シリーズ間の時系列もよく分からぬまま、その世界観に引き込まれました。

 

陰謀渦巻く中で行われるギリギリかつ大胆な駆け引き。堕ちた希望を拾って明日に繋ぐ聖戦。未だ見ぬ汚れきった奇跡を手にする為に…。

参加する魔術師達は皆それぞれに私欲を膨らませ画策し、召喚された英霊達は生前成し得なかった後悔を払拭すべく戦場を駈ける。個性の一言では御しがたい強烈な癖と癖が互いに接触し、化学反応を起こし、大規模な爆発となって物語へと昇華される。何れの道にも救いが無かった、悲しき前日譚。

 

 

 

 ギルガメッシュが好きではなかった

数いるキャラクターの中でも、私の心に小さな棘を残していったのが、「英雄王ギルガメッシュ」。後日談であり、「Fate」シリーズの祖『Fate/stay night』にも登場する、シリーズきっての大人気キャラクター。しかし私は、この「ギルガメッシュ」がどうしても、好きになれませんでした。

 

彼の、身に纏う鎧が如き王としての堂々たる振る舞い、自身以外を虫けら同然のように扱うその態度、正直言っていけ好かなかった。

ただ言っている事には筋が通っている事も多く、何よりサーヴァントとしての実力は言わずもがな。いっその事はっきりとした「悪」であれば、まだ彼の事を素直に嫌いになれたのに…。

言峰綺礼」という悪魔を誕生させた彼の手引きも鮮やか。綺礼の奥底に眠る本質を見抜き、見事な誘導で言葉巧みに悪魔を育てていった過程は、今思い出しても驚きを隠せない。

―強い。さすがは「英雄王」。戦いにおいても、人を魅了する事においても、その全てが、まさしく王の名に恥じぬ振る舞い。圧倒的な存在だった事は疑う余地もありません。

第八の契約

第八の契約

 

 

しかし、その強さの全てを把握し、胡坐をかいていた事も事実。時折見せる、人を人とも思わぬような素振りに非常に腹が立つ。前述した通り「王としての素質」は十分。しかし力があるからと言って、あそこまでふんぞり返る事が許されるのか…。

傍若無人。暴君。まさしく彼のような人間にぴったりの言葉。「人情にかける」。それが、私が長年彼に負の感情を持ち続けた理由なのです。

 

 

カルデアに来た「ギルガメッシュ

FGOの福袋で「アーチャー/ギルガメッシュ」を召喚した時、私の顔から表情が無くなった事を今でも思い出します。明るく楽しくがモットーの幣カルデア。本当は「セイバー/両儀式」が欲しかったのに、なんでアナタが…。

「我儘な乱暴坊や」は幣カルデアには不要なんですよ!…とは言えず。残念ながら当時はまだ始めたばかりで戦力が整っておらず、金のアーチャーはそれまで「織田信長」しか存在していなかった為、正直嬉しくなかったと言えば嘘になります。

戦力が乏しかった幣カルデアは泣く泣く英雄王を育てる事に。その後圧倒的な活躍を見せた彼に対して感情を作らない事が、私にできる精一杯の抵抗でした。

 

程なくして、「キャスター/ギルガメッシュ」が幣カルデアにやってきました。…2体目の英雄王?しかもキャスター?なんだこれ…。私の脳みそはちんぷんかんぷん。非常に戸惑いました。しかも、喋り方や振る舞いが、変だ。選ぶ言葉は確かに強いが、どことなく落ち着いている。誰だこれ、俺の知っている英雄王じゃない…。え?英雄王じゃなくて賢王?うーん…。

数多の疑問が脳裏を駈け廻りましたが、金のキャスターも乏しかった幣カルデアは、しぶしぶ賢王を育成。彼が活躍するのにも、そう時間はかかりませんでした。 

Fate/Grand Order キャスター/ギルガメッシュ 1/8スケール ABS&PVC製 塗装済み完成品フィギュア

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「賢王」ギルガメッシュ

そして、辿り着いた7つ目の特異点「絶対魔獣戦線バビロニア」。そう、そこで知るのです。「キャスター/ギルガメッシュ」の賢王としての振る舞いを。

人の労を労い、的確に指示をだし、民を見つめ、国を見つめ、未来を見つめ。民衆を、国を、正しい方向へと導くその姿。それはまさしく、私が思い描く「王」の姿。

かっこよかった。生まれて初めて「ギルガメッシュ」という英雄をかっこいいと、本当に素晴らしい人だと思いました。

…でもなぜ?何があって、こうなった?これは原作を知らなければ…。

 

しかし怠惰な私は、そのまま「バビロニア」を駆け抜け、人理を修復してしまいまして。

ギルガメッシュが変わったきっかけを知ったのは、アニメ放送を記念した展示会『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-展 Road to Uruk』での展示からでした。

www.fgo-babylonia-exhibition.jp

 

私が知りたかった事はこう。

エンキドゥは野獣として狩人たちから、ギルガメシュは暴君として民たちから、それぞれ恐れられていた。ところがお互いの力を認め合い親友となったことで、ギルガメシュはそれまでの横暴を改め穏やかさを取り戻し、エンキドゥは泣いたり怒ったりと人間性に磨きが掛かり、2人は国から愛される強き英雄となっていった。このように彼らの関係からは、人が人らしく成長していくためには教養と友人が必要不可欠であることが示され、寓話らしきプロセスが色濃く刻まれている

 

Wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%89%E3%82%A5) より引用~

 

つまり「エルキドゥ」との出会いが、彼を人として成長させ、賢王たらしめるきっかけとなったのか。「バビロニア」のシナリオでなんとなくは分かっていたが、エルキドゥとの出会いがそこまで大きな出来事だったとは。なるほどなるほど。

私はこの時、事実のみを理解していた気でいました。しかしまだ気付いていなかったのです。想像力が雑種以下の私では、その程度にしか理解できていなかった事を。

ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)

ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)

 

 

 

 亡き友との対峙、暴君と賢王の狭間に思いを馳せる。

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』第5話「ギルガメッシュ紀行」、鑑賞しました。

www.youtube.com

anime.fate-go.jp

 

ギルガメッシュとエルキドゥの旅路を、友との楽しき日々に思いを馳せつつ、現実世界で対峙する2人。

亡き友との再会に、複雑な表情を見せる賢王。その時見せた表情が、私の心にこれ以上なく突き刺さってきました。

歓喜と悲壮が溶け合い入り混じり、一見すれば無とも取れる。しかし確実に、あるゆる感情が駆け巡っている表情、人としての心が成せる絶妙な表情。

友との再会を喜び、敵である事を悲しみ、復活を信じ、存在を疑った。その全ては、人の心を持つが故。複数の感情が入り乱れる事こそ、人情がある証。

 

 

…あぁ、そうか。それほどに、「エルキドゥ」は「無二の友」だったんだな。非難される王から称賛される王へ。暴君から賢王へ。自身の在り方を覆してしまうような、暴君でしかなかったギルガメッシュにあんな顔をさせてしまうような、かけがえのない友に出会ったんだな。

賢王が見せた表情は、私が積み上げてきた「ギルガメッシュ」への負の感情を、跡形もなく消し去っていきました。

Episode 5 ギルガメッシュ紀行

 

振り返ってみれば、最初に藤丸君達と戦った時から引っかかっていました。「Zero」の時はありったけの武器をただぶつけるだけだったのに、「バビロニア」では出す武器を最小限に抑え、ぶつけるだけでなく武器を「使った」場面も見られた。今思えば戦い方にも変化があり、彼の成長が表れていたような気がします。

 

賢王の人情に触れたと同時に、暴君として呼ばれたもう1人の彼の事が、とたんに哀れに思えてきました。友に出会うことなく現世への受肉を果たした彼の事が。少しでも、少しでも暴君を理解し、寄り添える存在があの冬木の土地にいたなら、あるいは…。

―いや、それでもダメなんでしょう。あのエルキドゥの代わりなんて、神代でもない時代に存在するわけがない。それになにより、賢王が見せたあの表情は、「代わり」が存在してもいいような、「代わり」なんかで成立するような表情では無かったのだから。

 

 

先を知っているからこそ覚悟がいる

恥ずかしながら、映像になって初めて気付かされる事がたくさんあります。それは単純に、私の想像力が貧相だからです。誠に歯がゆい。

しかし、映像によって伝わる感動は、想像よりも幾分か濃厚で、芳醇なものだと私は思っています。もちろん、作り手が十分に熟成した想像を美しい形にできればの話ですが。

marumakkoriblog.hatenablog.com

 

アニメ『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』はまだ始まったばかり。これからも私の想像が及ばなかった気付きが、毎週30分という光のような速度の中に、溢れんばかりに詰め込まれてくることでしょう。この先の展開を知っているからこそ、今回のような思いもよらぬ表現が提供される可能性がある。覚悟を決めて視聴しないといけないと、強く思うばかりです。

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余談

英雄王も賢王も、明るく楽しくがモットーの幣カルデアに数年いるので、さすがに馴染んでくれていると思います。どこまで王様として振る舞っているかは謎ですが、困った時に私や仲間を助けてくれる、非常に頼もしく、面白い存在なのは間違いないです。

ただ、幣カルデアにはエルキドゥがいません。もし、幣カルデアにエルキドゥが召喚されたら、あるいは既に存在していたとしたら…。

その時はどうか、英雄王ご自慢のうまい酒でも飲んで、3人で愉快に語り合って欲しいなと思います。明るく楽しく、心穏やかな時間を過ごせるように、私も他のサーヴァントも協力しますので。

...せめて幣カルデアの中では、無二の友との平和で楽しい時間を過ごして欲しいと思う、今日この頃なのでした。

フィギュアーツZERO Fate/Grand Order ギルガメッシュ - 約210mm PVC&ABS製 塗装済み完成品フィギュア