中学生の時。初めて自分専用のパソコンを入手する事ができました。周りの友人が早くからインターネットに触れ、私の知らない様々な面白いコンテンツで盛り上がっていたのが羨ましかったので、インターネットが自宅でできるようになった事を非常に喜びました。
当時私にとってのインターネットって、情報を仕入れる場所というより、遊園地みたいな遊び場だったんですよね。フラッシュ、Youtube、ぱんぞう屋…。腹を抱えてゲラゲラ笑えるものから、作品として魅了されるものまで、情報収集に疎かった私は、友人から面白いコンテンツの話題を聞き、いろんなものに夢中になりました。
その内自分でも色んなコンテンツを探すようになり、情報収集としてインターネットを活用するようになりました。所謂ネットサーフィンを楽しむように。まぁ、今でも広い意味で遊び場という感覚には変わりないのですが(笑)。
そんな中で出会ったのが、『君がくれたあの日』。
茅原…かやはら…かな?と初めて見るアーティストの曲でしたが、不思議とタイトルには惹かれ、興味が湧きました。
調べてみると声優さんらしい。めっちゃ美人。タイプだなぁ…。あぁ、あの「長門」の声優さんか。『涼宮ハルヒの憂鬱』は見た事ないけど、このキャラクターは知っている。そうか、ちはらみのりさんと言うのか。なるほど…。
こんなに興味を持ったのも何かの縁だと思い、せっかくなのでどんな曲か聞いてみる事にしました。これが私のファーストContact。
あぁ、凄い。何という人だ。こんな不思議な歌声が世の中には存在するのか。
高音で少しばかり濁音を帯びたような印象も孕んだ、清く透き通った歌声。こんなにも透明でありながら、芯のようなものを力強く感じさせ、心に響く表現力。美しく純白でありながら、気高く崇高な姫騎士の様、そんな歌声。とても、かっこよかった。
…まぁ、中学時代なんでね。見るもの全てが新鮮なお年頃だったので、今となってはちょっと大げさだったような気もします。ただ、『君がくれたあの日』を聞いたあの時、あの当時は間違いなく、私の世界が一変した、そんな衝撃が走った瞬間でした。
そこからはインターネットの活躍の場。他にも茅原さんの楽曲がないか調べ、かたっぱしから聞きました。「純白サンクチュアリ」を聞き、アルバム『Contact』を聞き、「雪、無音、窓辺にて。」を聞き。歌手活動再開前のアルバム『HEROINE』にも巡り会い、「jelly beans」「マリオネット」「傘の下」は文字通り死ぬほどリピートしました。
良い、どれも良い。私の好みだ。笑えるし、泣けるし、元気になれる。いつしか私の中で「茅原実里」というコンテンツが確立されてゆき、ネオンライトのように毎日煌々と輝き続けていました。
声優さんがラジオのやっているのを知ったのもこの頃で、『茅原実里のradio minorhythm』が私の初めて触れた声優ラジオ。これまで楽曲にはたくさん触れてきたけど、本人そのものを知るのは初めてだな…。きっと歌声のように、クールで美しい、凛としたお方なのだろうなぁ…。楽しみだ。早速聞いてみよう。
と、ブラウザの視聴ボタンをクリック。その瞬間、またしても衝撃が走るのです。
…な、なんだこのおっとりした人は!こんなふわふわ、ぽわぽわした人が茅原実里さん?嘘、まじで?歌声の印象と全然ちゃうやん…。正直最初はガッカリした事をよく覚えています(笑)。ただ引き続きラジオを聴いていると、そのガッカリも無くなってきました。慣れてきたのかもしれまん。ただ徐々に好感が持ててきたのは間違いないです。楽しそうに、ときにはしょんぼりと近況を語り、特にきな粉やチロルチョコの話題は嬉々として語る。「好きな粉ものは?」と聞かれ「きな粉」と答える様は、もはや愛くるしささえ感じました。
想えば、この頃の私は「かっこいい」には敏感に反応していましたが、「かわいい」には疎く、知らず知らずのうちに敬遠していた節がありました。これもお年頃のせいですかね…(笑)。
気付けばラジオのヘビーリスナーに。毎週水曜日の更新が楽しみになり、お便りも何度か投稿し、読まれた回は何度もリピートしました。めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。今思い出しても、ちょっと喜んじゃうくらいには。
新曲が出ると聞き、喜びました。タイトルは「Melty tale storage」。欲しかった、のどから手が出るほど。これまでの楽曲は全てどこかからレンタルしてきたもので、自分でCDを買ったものは1枚もありませんでした。
ラジオで先行公開された新曲を聞き、欲しい気持ちが募る日々。しかし当時、まだ私にはCDを買えるほどの持ち合わせがありませんでした。結果「Melty tale storage」もレンタル。レンタルショップであれば当日返却で安く済ませられるので、これまで同様に親がお金を出してくたのですが、本当に悔しい思いをしたのを今でも覚えています。
親に相談すればよかったのにね、それはちょっと恥ずかしかったんだよな…(笑)。
私にもお小遣いが支給され始めた頃、再び新曲の発売が告知されました。タイトルは「雨上がりの花よ咲け」。すぐに予約しました。前払いで予約しました。やった、やっとだ。やっと茅原さんのCDを手元に置ける。人生で初めて買ったアーティストのCDを、今か今かと心待ちにしていました。
発売日当日、学校が終わって急いでお店へ。CDを受け取り、寄り道することなく帰宅。着替えもそのままに自室にこもり、CDプレーヤーを準備しました。早く聞きたい、早く聞きたい…早く、聞きたい!
焦る気持ちとは裏腹に中々破れない包装ビニール。我慢できずに取り出したカッターナイフで、初回限定盤のケースを少し傷つけてしまった事は、まぁ今ではいい思い出です(笑)。
ケースから取り出し、CDをプレーヤーにセット。蓋を閉め、再生ボタンを押す…。流れてくる、待ち焦がれた憧れの歌声。あぁ、今私は、大好きなアーティストの歌声を、自分で買ったCDを聞いているんだ。嬉しかった。明るい曲調と共に流れる応援歌のような歌詞、そしてあの歌声。CDの回転で起こる微かなノイズですら、今感じてる幸福への絶妙なアクセントとなり、とても充実した数分間を体感できました。
それからCDがケースに戻される事は、しばらくありませんでした。
『喰霊―零―』の放送が始まりました。OPである「Paradise Lost」がリリースされ、当然のように購入した私は毎日聴いていました。嬉しかったのは、この頃から周りの友達も茅原実里さんに興味を持ってくれた事。アニメで演じる役がかわいいとか、「Paradise Lost」がかっこいいとか。茅原さんについての色んな感想を、友達同士でかわすようになりました。自分が好きなものを、他の誰かも好きになってくれる喜びを、この時初めて知りました。
アルバムが出ました。タイトルは「Parade」。購入して中を開けるとライブの先行抽選申し込み用のシリアルナンバーが。アルバムを引っ提げて、ツアーを行う事は、ラジオからも情報を仕入れていましたが、よくよく詳細を調べてみると、どうやら隣の県に来るらしい…。
申し込みました。行けるかどうか分からないけど。当たるかどうかの話もありましたし、どれくらいお金が必要だとか、そもそも親が遠出を許してくれるのかどうかとか、色んな不安が頭をよぎりましたが、正直そんなものはどうでもよかった。
会いたい。憧れのあの人に。遠くからでもいいから。直に歌声を聴きたい。
申し込んでから当落発表までの間、気もそぞろとはこういう事を言うんだなと思いました。とにかく落ち着かなかった(笑)。それでもしばらくしたら落ち着いてきました。そして忘れかけたころに届く「当選通知」。
部屋に響く、言葉にもならぬ喜びの声。すぐにチケット代を入金し、親に相談。多少の不安はありましたが、終わったらすぐ帰ってくる事を条件に承諾を得て、旅費やグッズ代の貯金を始めました。
ライブ当日、初めて1人で県外へ行くとあって、念入りにルートをチェック。会場に着くまでの間は気が気でなりませんでした。
なんとか会場到着。グッズ販売の時間より数時間早く到着しましたが、この時にはそこそこの列が。早めに行かないと欲しいものが買えない事を、この時身をもって体感しました。
欲しいグッズを買い、あとは開演を待つのみ。どんなライブか、本当は映像作品を見ておいた方が良かったのだろうけど、DVDを買う余裕は無く、調べてもよく分からなかった。大丈夫だろうか…。
開場、中へと通される私。ドリンクを受け取り、人生初のライブハウスへ。
そして開演。真っ暗になった会場に、次々とスタンバイを始めるバンドメンバーさん達。そして…。
爆音で演奏される「Prism in the name of hope」。明るくなった会場。ステージ中央には、茅原実里さん。あぁ、始まった。大好きなアーティストのライブが。
そこからは一心不乱にペンライトを振り、朝から晩まで聞き続けた楽曲の数々を生演奏で聞ける事と、目の前に「茅原実里」が生きているという事実で、幸福感に満ち満ちた時間となりました。かっこいいとかわいいが、交互に押し寄せてくるまたとない時間。
間違いなく、これまで生きてきた中で最高に幸せだった瞬間だったと思います。
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その後は定期的に発売されるシングルやアルバムを買い、ラジオを聴き、たまにライブに参加し、順調に「みのりんのファン」として歩んできた私。これからもずっと、そうしていくつもりでした。
高校に進学して生活が一変。地元でも有名な進学校に入った事もあり、怒涛のように過ぎ去っていく日常に変化。勉強というストレス、先生方のプレッシャー、うまくいかない人間関係と、非力な私ではどうしようもない事が同時に押し寄せ、苦悩の板挟みにあう日々を過ごしました。
次第に趣味に割ける時間も、心のリソースが減ってゆきます。ライブには参加できなくなり、ラジオを聞かなくなり、曲も聞かなくなりました。人によっては「○○によって苦しい時もがんばれました」みたいな話になると思うのですが、私にはその○○を手に取る余裕すら、その当時は無かったのです。私の中の「茅原実里」というコンテンツは、少しずつ、薄く小さくなってゆきました。
勉強が不出来だった私は志望した大学には行けず、親に薦められた短大にギリギリで滑り込みました。心の余裕もそれなりに復活し、学校生活もそれなりに楽しめましたが、「茅原実里」というコンテンツに関しては、なんとかCDを買うに留まるレベル。短大が田舎だった事もあってライブ参加は難しかった事もあるのですが、「応援していない時期があった」という負い目から、なんとなく「CDを買う」までが限界だと思っていまして…。
社会人になり、再び多忙に追い回される日々がスタート。学生の頃からの夢を叶えるべく上京した私は、慣れない環境に四苦八苦しつつ、思い描いた理想と襲い掛かる現実に精神が摩耗。これまで意地で集め続けていたCDも、ついに余裕が無くなり買わなくなりました。金銭的な問題もあり、本当に「何もしないファン」となったわけです。
…一人暮らしって、結構大変なのね(笑)。
何もしなくなってから数年たったある日。この日は彼女の帰りを待つべく、時間つぶしに映画館に来ていました。予約していた映画を鑑賞し終えても、彼女はまだ帰ってこない。そこで、急遽もう一本鑑賞する事に。選んだ映画のタイトルは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』。
marumakkoriblog.hatenablog.com
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はテレビ放送は見ていましたが、なんとなくと言った感じで。録画して見ていた為、時間節約の為OPとEDはカット。本編のみを見ていました。
しかし疲弊しきった心で見ても、この作品の美しさは伝わっていました。弱り切ったところに沁み過ぎたり、ちょっと眩し過ぎもしましたが、良い作品だったという印象だけは、しっかり持っていました。
劇場で新作が公開されている事は知ってましたが、もともと見る予定は無く、しかしちょうどいい時間の映画がこれしかなかったので、チケットを取り、座席へと向かう事に。
映画はとても素晴らしかった。日本が誇るアニメ制作会社の作品だけあって、とても優雅で、気品のある作品でした。
本編が終わり「いい話だったなぁ」と、エンドロールで物語を振り返ろうとしたその時、流れてくるエンディングテーマ「エイミー」。
久々に、本当に久しぶりに、心の底から燃え上がるような感動に押しつぶされました。後悔と自責の念にも苛まれました。物語を振り返る事も忘れ、曲に没頭する私。かわりに曲の中で、映画でのワンシーンをふつふつと思い浮かびます。劇中の場面が、胸の奥でじわっと滲み、沁みてゆくような感覚も感じました。
映画館という環境のせいもあったのでしょうね。茅原さんの曲が、荘厳に、雄大に、優しさと美しさを含みつつ壮大に心に響き、初めて「君がくれたあの日」を聞いた日の事を思いだしました。
映画が終わり、急いでCDショップへ。しかしもうすでに夜遅い時間だった為、お店は閉まっており、泣く泣く自宅へと戻りました。
翌日、仕事が終わってすぐにCDショップへ。「エイミー」を探して店内をうろうろしますが見つからず。しばらくショップに通いつめ、ようやく手に取る事ができました。
ネットで買えば、もっと簡単に手に入ったんだと思います。でも、どうしてもそうしたくなかった。何が何でも自分の手で取って、目の前で購入したかった。支払いの際「店舗特典は終了しましたけど大丈夫ですか」と尋ねられましたが、大丈夫です店員さん。そもそも店舗特典なんて知らなかったし、今ここで、目の前でCDが買えれば、自分の手で取ったその感動が懐に収まれば、それで満足ですから。
以前のように繰り返し聞く事は無くなりましたが、それでも、ふとした時に聞くと、とても心地の良い、幸せな気持ちが溢れてきます。あぁやっぱり、私は茅原さんの曲が大好きなんだなぁ…。
私が言えた義理は無いのですが…。
偏に、これまで「茅原実里」というParadeが続いてきた事は、本人のご活躍はもちろん、スタッフさん達の助力、そして現役で応援を続けているファンの存在などが様々な形で螺旋のように絡み合い、それぞれにContactがあったからだと考えています。継続と言う鍵を守り、聖域を存続させ続けた全てへの感謝と敬意を、胸に留めておきたいと思います。私が数年の時を経て感動できたのは、これらの存在があったおかげであるのだから。
何時でも応援していた訳ではないのです。現役で応援しているファンに申し訳なくて、今でもライブには行けないし、中々時間が取れなくてラジオも聴いていない、CDの発売日もこまめにチェックしてない。ただそれでも、私は心のどこかで、茅原さんのファンでいたいなと思うのです。
ファンでいる事なんて、誰に許可を得る必要もないし、応援の形なんて人それぞれなんで、おそらく自由でいいんですよ。ただそれでも、申し訳ない気持ちを抱えつつ、気持ちだけでも応援していたいと、そう思っている次第です。
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本日のライブでみのりんからの大発表がありましたー‼️
— 茅原実里 公式 (@Minorin_parade) November 18, 2019
皆さん、盛りだくさんでしたが情報キャッチできましたか😍⁉️
15周年プロジェクトまだまだ続きますよッ⋆*
詳しくは、公式HPにてチェックしてくださいね🙌❤️(STAFF)
➡︎https://t.co/ITwzO3dKzd #minorin #EverybodyJump #15thPJ #茅原実里 pic.twitter.com/y7mPAdGSbN
前置きが長くなりました。申し訳ないです。
私から申し上げたいのはこれだけ。
茅原実里さん、15周年おめでとうございます。
素敵な歌をいつもありがとうございました。
これからも心から、というより心で、応援してます。
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