まるマッコリの日記(仮)

自分の思ったこと、好きなものを書いていきます。主に特撮やFGO。

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『娘の友達(1)&(2)』感想 ジリジリと忍び寄る優しさは、ヒリヒリとした恐怖に変わる。

 ジリジリと、忍び寄る。

 『娘の友達(1)&(2)』読了しました。

娘の友達(1) (モーニング KC)

娘の友達(1) (モーニング KC)

娘の友達(1) (モーニング KC)

 

 

例のごとく、作者の萩原あさ美先生がTwitterで1話を公開されていたのをきっかけに購入しました。淡い恋模様を描いたお話だと思って読み進めていったのですが、どんどん違う方向に…。いつしか私は、ページを捲る度に苦しい思いに苛まれていました。

久々に心にズシンとくる漫画を読んだ気がします。最近はもっぱら少年漫画やハートフルな漫画ばかりだったので、たまには良いかなと。 

以下、感想をつらつらと。

 

 

安心感と理性の板挟み

晃介の葛藤には読んでる私も冷や汗をかく程でした。

自身の悩みを真摯に考え、解決する為に協力してくれる上、自身の弱さを理解し受け止めてくれるような存在なら、相手が誰であれ、好きになってしまうのも無理はないかと。

古都は、心身ともに疲弊していた晃介を出会う度に気遣ってくれました。奥さんを亡くし、娘との意思疎通も上手くいかず、会社でも皆を引っ張っていく立場にあり、誰にも頼る事ができず孤独だった晃介。そんな彼に優しく語り掛け、作中で唯一支えてくれたのが古都です。自身の抱える悩みを理解し、寄り添おうとしてくれる古都を、晃介が好きになってしまうのは、自然な流れだと思います。

問題は相手が女子高生である事。女子高生との恋愛は正直リスクが高すぎます。ましてや娘の友達を好きになるなんて、そんなの娘の美也にも顔向けできない。世間的にも何と言われるか…。その辺は晃介も理解していると思うんですよ、「いけない事なんだ」とこれまで何度も踏みとどまってきているので。

優しくされた安心感と相手と釣り合わないと叫ぶ理性。この2つの思いがひしめき合って悩み苦しむ様に、見てるこちらが緊張してしまいました。

しかし、2巻では遂に思いを告げてしまった晃介。ちょっと悲しかったですね。敗北感を味わったような気持ちになりました。古都が高校を卒業すればと思っている晃介ですが、苦難の道を歩む事になるのは間違いないと思います。

娘の友達(2) (モーニングコミックス)

 

 

若さという恐怖

古都の真意が、正直よく分からないんですよね。本気で恋愛対象として晃介を見ているようにも見えますし、別の目的があって晃介と関わっているようにも見えます。

本気で恋愛対象として晃介を見ているのなら、見た目がタイプだったとか小さい時から好きだったとか、理由としては沢山考えられるので、正直よっぽどの事でなければ、どんな理由でも成立してしまうと思います。

別の目的があるとすれば、母親の束縛から逃れる為の息抜きといった感じでしょうか。母親の望むがままに生きてきたから、母親の命令とは違う自分の意志で行動してみたかった。だから自分にとって不利益にならない相手を選んで、一緒に過ごしている。この場合、自分にとって無害であれば誰でも良い訳で、「幼馴染のお父さん」という立場にあった晃介は、まさしくうってつけの人間だったと思います。

読みだした当初は、美也の不登校の原因が古都で、美也に更なる追い打ちをかける為に晃介に近づいたんだと思っていたのですが、登校した美也が古都と普通に話をしているところを見ると、その線は薄そうだな…。

 

ただどちらにせよ、私は彼女の事を恐ろしく思いました。無垢ゆえに近づいているにしろ、裏があって近づいたにしろ、相手の懐に簡単に忍び込めるあの雰囲気は、なかなか持ち合わせているものではありません。若さ故にできる事なのでしょうか…。人付き合いが苦手な私としては、彼女の能力に恐れを抱くばかりです。

 

 

ヒリヒリと、心をさかなでる。

私はこの漫画で、久しぶりにヒリヒリとした恐怖を感じました。前述した通り、心の弱いところを支えてくれる相手に好意を持つのは自然な事だと思うのですが、晃介と古都では年齢差がありすぎる。しかし、その事情を知ってか知らずか、迫ってくる古都。ダメだと分かっているのに、弱いところを突かれてしまって拒絶もできない晃介。晃介にとっては逃れようのない恐怖だったと思います。

また古都の目的もはっきりしないままなので、客観的に見ている私としてはさらに怖い。今後の二人の関係に目が離せません。

引き続き単行本を読んでいくつもりなのですが、単行本だと週刊連載に追いつかないかな…。どこかで切り替えた方が良いのかな…。平和に終わるといいな…。

娘の友達 コミック 1-2巻セット

娘の友達 コミック 1-2巻セット