まるマッコリの日記(仮)

自分の思ったこと、好きなものを書いていきます。主に特撮やFGO。

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『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』感想 フランスからのラブレター、溢れる愛は実写である事を忘却させる。

おフランスよりモッコリ

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』鑑賞しました。

映画チラシ シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション フィリップ・ラショー

cityhunter-themovie.com

 

連日実写化映画の記事を書く事になるとは思わなんだ…。映画の日という事で見たかった作品を予約したら、『地獄少女』と連続になっちゃって。うーん意図した訳ではないんだけどね…。
marumakkoriblog.hatenablog.com

 

昨日の記事で実写版『地獄少女』をべた褒めしたんですが、本作もべた褒め案件です。

監督がめちゃくちゃ原作やアニメのファンだったという事を知っていたので、こちらも期待値高めで鑑賞したのですが、それはもう濃過ぎる程の「愛」で溢れてました。ちょっとむせてしまう程です(笑)。

鑑賞後劇場内で拍手が起こったんですが、分かる…あれは拍手したい映画だった…。

以下、感想をつらつらと。

 

 

とことんアニメに拘った実写作品

昨日の記事では実写版『地獄少女』の記事を書いたのですが、あちらはアニメの成分を抽出し、抽出した成分を味わうべくトッピングを加えた、言わば「アニメを実写の世界に置き換えるとこうなる」の成功例だと思っています。重要な要素を踏みにじる事なく元のアニメを尊重し、実写にしても違和感の無い様更なる解釈を加える。元の味を楽しみつつ、実写としての旨味も感じられる良い映画だと感じました。

本作もアニメの実写化という位置付けになるのですが、そのテイストは微妙に異なる気がします。と言うのも、私は本作を、「アニメ成分を煮出して、できる限りそのまま提供」してきた映画だと考えているからです。

 

俳優の見た目もさることながら、キャラクター同士のやり取り、戦闘シーン、お色気シーン…と、とにかく物語の随所にアニメ『シティーハンター』の要素をそのまま反映しており、実写のせいか、幾分か濃い目に感じられる作品でした。できる限りアニメの様に表現しようとしている気概を感じられたんですよね。

第1話 粋なスイーパー XYZは危険なカクテル

第1話 粋なスイーパー XYZは危険なカクテル

  • 発売日: 2016/09/01
  • メディア: Prime Video

 

冒頭の病室での戦闘なんかを例にとると、正直モッコリーさんは余分なんですよ。でも裸のモッコリー市長を挟んで海坊主と獠が真剣に戦うのが、なんともアニメ的だと思うんですよね。激しいアクションシーンに心が躍りつつ、理不尽に巻き込まれるモッコリーさんに笑ってしまう。この面白おかしいアクションシーンを実写で行うのって、なかなか無いと思うんですよ。

また適度に女性のセクシーなシーンが登場するのもアニメならではの魅力なのですが、本作でも隙あらば美女が登場し、パンチラ、腿チラ、胸チラシーンが挟み込まれる。チラという程細やかなものではなく、割と堂々と登場するのは、お国柄でしょうかね(笑)。

そこに加え、ここぞという場面での海坊主との共闘、獠と香の何とも言えないもどかしい信頼関係などが描写されていた事で、私が衛星放送や再放送で幾度となく見てきた『シティーハンター』を、この映画に感じてられたのだと思います。

 

実写化する上で、リアリティを持たせるためにどうしても削ぎ落とされる部分とか、付け加えられる部分とかが出てきます。この塩梅を間違えると、実写作品が批判の的になる。しかし本作は、アニメの部分をほとんど削る事なく、シリアスもファニーもできる限り盛り込んで映像に落とし込んできた。文字通りの「アニメの実写化作品」だと感じました。

 

 

監督のこだわりを感じる演出

特に強い愛を感じたのが、獠目線での戦闘シーン。次から次に襲い掛かってくる敵を避けながら、的確に一発を叩き込む。格闘術で応戦したり、銃撃戦を交わしたり、敵をクレーンで吊ったりと、お馴染みのあの手この手を使った戦い。それをわざわざ獠の視点から撮ったのは、ファンとしては興味深かったし、何より監督の「見たい」というオタク心が前面に押し出された演出だなと思いましたね。獠の凄さを体感できる良い演出だったと思います。

#01 脱モッコリ宣言! XYZは世界を救う

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  • 発売日: 2016/09/01
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その他

シティーハンター』としての要素だけじゃなく、サッカー少年のツバサ君とか、浜辺で一人ランジェリーモデルの配信を見ている白髭のグラサンおじいちゃんとか、至る所に監督の日本アニメ愛が感じられる本作。

シナリオ自体も「獠のアイデンティティー消失の危機」だったというのも、非常に面白かったです。近くの美女には目もくれず、随所でおじさんに想いを馳せる獠の姿は滑稽で、なんならアニメで放送してたんじゃないかと思える程。しかし決めるところは決めるというかっこよさも健在で、実写という意識を忘れさせてくれました。原作者が太鼓判を押すのも、よく分かります。

唯一惜しかったとすれば、やはり神谷明さんと伊倉一恵さんの声があてられた獠と香を見れなかった事ですね。しかし山寺宏一さんと沢城みゆきさんの演じる獠と香も新鮮だった為、これはこれで良しといった感じです。

 

 

今なお愛されるアニメ『シティーハンター

本作の感想。一言でいえば「シティーハンターだった」で終わるんですよ。『シティーハンター』を見に来た訳だから当然の感想かもしれません。しかし必ずしも目的のものが見られるとは限らないのが実写映画やリバイバル映画の難しいところ。「定食屋に行って定食が出てきた」という感想は、当たり前のように思えて、実はとっても価値のある感想だと思うんですよね。ましてや遥々フランスから来た映画がまんま『シティーハンター』だったなんて、定食におまけついちゃってるんですよ…。

偏に、主演・脚本・監督を務めたフィリップ・ラショーさんの愛の賜物だと思うんですよね。インタビューからも、この映画に対するこだわりを感じる事ができます。

 

『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』も、とことん当時の『シティーハンター』に拘って作られた映画だったと思うのですが、本作も含めて、放送していたアニメがどれだけ愛されていたかを改めて実感できた気がしました。

愛に溢れた作品は見ていて楽しいです。再び愛溢れる『シティーハンター』に出会えれば良いなと思うばかりです。