まるマッコリの日記(仮)

自分の思ったこと、好きなものを書いていきます。主に特撮やFGO。

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『ミッドナイト・イン・パリ』感想 「黄金時代」、それはいつ?

掲げた目標へ歩む男、それが私。

ミッドナイト・イン・パリ』、鑑賞しました。

ミッドナイト・イン・パリ(字幕版)

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  • 発売日: 2016/05/18
  • メディア: Prime Video
 

 

「サブスクを利用しよう」を今年の目標として設定していましたが、Amazonプライムでお気に入り登録していた作品を、早速鑑賞しました。こんなに早い段階で有言実行できてるなんて、偉いな…私。

marumakkoriblog.hatenablog.com

 

 これからも時間見つけてお気に入り登録している未視聴作品を消化できれば幸いです。あれもこれもと手を付ける性分な為、後回しになってしまう事も多々ありますが…。

 あと気を抜いてしまうと、ついつい見た事ある作品を見てしまうんですよね。安心感を求めてしまっているというか。見た事ない作品に手を付けるというのは、なかなか元気がいる事で、それなりの勇気がいります。現に新作アニメやドラマはもうほとんど見なくなってしまいまして…。いや…このままではいけないとは思いつつ、ついつい安らぎを求め、内容を知っているものに手を伸ばしてしまうんですよね…。

  1度見たものを見直す事は決して悪い事ではないのですが、どことなく疎外感を感じてしまいます。そんな私の心にさらに追い打ちをかけるような内容だったのが、今回の『ミッドナイト・イン・パリ』。

 以下、感想をつらつらと。

 

 

おしゃれな街・パリ

 全体を通して「おしゃれな映画」。終始優雅に描かれており、このイメージが崩れる事はありません。とにかくしゃれおつ。

 まずは冒頭、パリの街並みの映像が流れます。何の変哲もない日常風景を映しているだけなのですが、街に揺蕩う時間の流れをやんわりと感じる事ができ、パリが持つ品性を十分に感じ取ってから本編を鑑賞する事になります。

 物語の中では、ギルが過去と現在を行き来するわけですが、過去にしろ現在にしろ、訪れる場所のその全てに品があり、暗い路地裏ですら上品さを感じさせてくれます。ギルのようなパリへの憧れが、終始映像からにじみ出ているような映画でした。

パリの散歩道 2020年 カレンダー 壁掛け SG-1 (使用サイズ594x297mm) 風景

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  • 出版社/メーカー: 写真工房
  • 発売日: 2019/09/01
  • メディア: カレンダー
 

 

 

「黄金時代」は存在するのか

 過去と言う幻想を振り払えと諭しながら、自分よりも前の時代を生きるアドリアナを説得するギルは、なんというか滑稽と言うか、悲壮的と言うか…。発言と行動に矛盾が生じているように感じられ、言いようのない悲しみがこみ上げてきました。

 

 「昔は良かった」なんて感情、誰しも持った事があると思います。私なんかしょっちゅう抱いています。小学生の時は楽しい人生だったと。今を嘆き昔を尊ぶ姿勢は、決して悪い事ではないでしょう。しかし現実に目を背けてしまう考え方は、絶え間なく流れる時間の中では、あまり建設的ではない気がします。

 物語の中で、ギルがアドリアナを諭したように、結局人は、今を生きるしかないのです。現代には現代の時間の流れや環境があり、その時代に生まれた人間は、その時代で適応して生きていけるようになっている為、どんなに過去を慈しもうとも、そこに馴染める生き方は難しいのかなと。私も過去を慈しむタイプの人間ですが、ではスマホが存在しない過去を生き抜けるかと言われれば、答えはノーです。現代技術に全く頼らずに生きている人間なら別でしょうが、そんな人がどれほどいるのでしょうか…。

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 またギルが1920年代のパリを黄金時代と表現する一方で、アドリアナは1920年代を退屈な時代と表現し、19世紀のパリを黄金時代だと表現しますが、結局「黄金時代」とはどの時代の事を言うのでしょうか。

 週刊少年ジャンプで長期連載していた人気漫画の連載が立て続けに終了すると、よく「ジャンプの黄金時代は終わった」という表現をする人が現れます。しかしジャンプでは、いつの間にか次なる人気漫画が誕生していて、衰退しきる事はありません。時代によって売上の上がり下がりは多少あるでしょうが、それでもジャンプは看板となる連載漫画を、ほぼ途切れることなく排出しているのです。

 結局、ジャンプを長期購読している人にとっては、読み続けている今が「黄金時代」なんだと思います。私のようにすっかり読まなくなってしまった人にとっては「〇〇が連載している頃は面白かったな」と思ってしまう事もあるでしょうが、現役で読んでいる人にとっては、おそらく今が1番なんですよね。『BLEACH』も『銀魂』も無いのが今のジャンプですが、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』があるのが今のジャンプなんです。

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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呪術廻戦 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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  ギルやアドリアナは、ジャンプを読まなくなった人なんだと思います。現行の連載を知らぬまま、自分が昔蓄えた知識の中だけで生きる人。今の連載の面白さを理解できないから「過去が良かった」と憐れむ人。それはそれで1つの価値観のでしょうが、どこかもの悲しさを感じてしまいます。

 今という時代に黄金を感じられない価値観には、発展がありません。なぜなら未来は定まっておらず、過去はそれ以上変わる事はないからです。発展もなく、ただ時の流れが過ぎてゆくのを過ごすだけだったり、流れに逆らい過去に囚われたりする事は、相対的に衰退していくという事だと思います。

 

 

価値観は広くありたい

 ギルやアドリアナが想いを馳せた時代は、確かに良い時代だったのかもしれません。しかし、それは現代に馴染めない事への言い訳のようにも捉えられる気がしますし、過去を愛しすぎた故に、相対的に現代を愛せなかったという悲劇のようにも思えます。楽しもうとしなければ、おそらく何事も楽しくないし、愛そうと思わなければ、好きになる事はできないんですよ。

 

 物語の終わりで婚約破棄したギルは、同じ時代を愛する現代人と共に夜のパリに消えていきますが、同じ価値観の人間としか理解しあえないのなら、その価値観は広くあるべきだと思いました。ギルにとってはあれがハッピーエンドだったのでしょうが、私としてはもう少し「現代向きの価値観」が備わっている方が生きやすいんじゃないかと思っている次第で…。もっとも、私自身に「現代向きの価値観」が備わっているかと言われれば、何も言えなくなってしまうんですけどね(笑)。

 それでもこの映画を見ながら、過去を愛するのと同じぐらい、現在を愛していきたいなと、自分を戒めるばかりです。とりあえずは、ジャンプをフラットに読めるメンタルが欲しい…。

鬼滅の刃 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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呪術廻戦 9 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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