『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』 、鑑賞しました。
推理ものって、どう見るか悩みませんか?たぶん犯人捜ししながらの方が楽しめるんでしょうが、恥ずかしながら私、物語を見ていてもイマイチピンとこないんですよね。矛盾点探すのが苦手みたいで…。かと言って何となく見るのも違う気がしてならない…。果たして正解は如何に。
まぁでも、トリックが暴かれる瞬間は、何となく見ていてもそれなりにビックリできるので、作品がつまらないなんて事がないのは幸いですかね。ちなみに一番好きなトリックは『名探偵コナン』の「呪いの仮面は冷たく笑う」。オカルトチックな演出が放送当時痺れました。
さてさて。映画の話を戻ると、今回の映画は推理もの。感想を書くにあたってやはり考慮しなきゃいけないのが、犯人が誰だったか等のネタバレ。いろんな人の感想を読んできたのですが、ネタバレにならないように感想を書いていた人、ネタバレありきである事を告知して感想を書いていた人と様々でしたね。
当ブログでは「感想つらつら」表記が実質「以下ネタバレ含みます」表記としているつもりなのですが、今回は改めて表記させていただきます。以下ネタバレ含みます。
と言っても、「トリックは○○でした」「犯人は○○でした」なんてストレートに書くのはさすがに興醒め。せっかくの私の感想の場なので、「推理ものを楽しむ術を知らぬ人間が如何にこの映画に引き込まれたか」を書いていこうかなと思っています。
以下、感想をつらつらと。
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』鑑賞
— まるマッコリ (@makkori04155) 2020年2月14日
突き止める探偵
奔走する犯人
二転三転する事件
じっくりと
そして大胆に
積み重なっていく事実は
1つの真実へと着実に流れてゆく
視聴者にだけ共有される事象は
果たしてどの様に組み合わさるのか
種明かしへの期待値を高まる#映画ナイブズ・アウト pic.twitter.com/ln0nUXWvWx
事件が起きて容疑者の取り調べからスタートする本作。真犯人以外の容疑者の嘘があらかじめ視聴者にだけ披露されている事で、素人の私でもぐっと引き込まれるんですよ。有名なところだと『古畑任三郎』あたりがこのスタイルでしたね。どうやら「倒叙もの」と言うらしい。
結局真犯人は別にいたので、この映画が倒叙ものかと言われればたぶん違うのですが…。
先に嘘が明かされるという意味での「古畑任三郎スタイル」。私みたいな素人には非常にありがたいんですよね。このスタイルのおかげで、楽しむポイントが一気に絞られてくる。
犯人が分からぬまま証拠を集めていくストーリーだと、私みたいな素人にはちっともピンとこないんです。多少怪しいなと思っていても、その怪しさを解消させる道筋までには至らないので、結局探偵の答え合わせを待つしかない。加えてあれもこれもと疑ってしまうので、物語への注意力が散漫になってしまうんですよ。
しかし、今回の嘘をばらしてくれるスタイルだと、「何を怪しむべきか」「どのように容疑者がごまかしていくか」の2つに絞って、物語を楽しむ事ができるんです。誰が嘘をついているかが分かっているので、疑いをかける人間は明確化されていますし、疑う人間が明確になっているからこそ、探偵と犯人のやりとりに緊張感が生まれる。探偵側の視点からみればどう暴くか、犯人側の視点から見ればどう回避するかを、割とはっきり意識する事ができるから、物語をぐっと楽しむ事ができるんですよ。
さらに良かったのは「嘘をつくと吐く」という特徴を持ったマルタの存在。この特徴のおかげで、注目すべきポイントがさらにに絞られてくる。家族全体を見てきたマルタがこの特徴を持っているのがなお良いです。視聴者用のウソ発見器とでもいいましょうか、何を信じて良いのかが明確化される。言い換えれば、証言対して判断基準ができるので、物語での証言や事象を整理しやすくなります。
上記の様に必要要素が明確になっているから、最後の推理ショーで得られる納得感が尋常じゃない。「チェーホフの銃」がしっかりと発砲する瞬間を感じる事ができるんですよ。「あぁグレートの“また”はそういう事だったのか」「犬が吠えたタイミングはここだったのか」などなど。じゃんじゃん舞台上に用意された銃の引き金が、次々に引かれていくのを実感できる。実に気持ちが良い。
もっと言えば、舞台上に用意してない銃の引き金を引かないのも良かったですね。マルタが通った道をランサムも通ったといった展開とか、お話で出てこなかったものが登場しない事でスッキリとした印象を持てます。
後は細かいところにもギミックが仕込まれていたのも面白い。「最初に登場したマグカップが最後にいい味を出してくる」「父親に鍛えられたリンダがあぶり出しの手紙に気づく」などなど。細かいところまでフラグ回収がきっちりなされていた事が、実に爽快でした。そうそう、嘘ついた時の吐しゃ物がランサムへの反撃になるとは(笑)。
さてさて。つらつら面白かった要素を書いてきたわけなんですが、もちろん真犯人が別にいたという要素も「楽しかった」という感想に一枚かんでいます。ただこの要素も、前述した分かりやすさがあったからこそ、楽しめたのではないかなというのが個人的な感想。
ついでに、さらに個人的に好きな点を挙げるなら、探偵ブノワのキャラクター。『古畑任三郎』もそうですが『刑事コロンボ』とか『相棒』とか、ああいう飄々とした探偵に弱いんですよね…。ああいう大人に、私はなりたい。
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映画の帰りに「続編があるといいね」なんて彼女と話してたんですが、どうやら準備はしているらしい。やったぜ。
とまぁ続編を期待してしまうくらいには、私としては珍しく推理ものを楽しんでいました。いやー気持ちよかった。金銭的にもスケジュール的にも結構無理して見に行ったのですが、鑑賞できて良かったです。2時間があっという間でした。
…「倒叙もの」、私のツボなのかもしれません。