「チェーホフの銃」ってご存知?
簡単に言うと、「脚本上必要ない物は登場させちゃダメよ」って話。発砲する気がないなら、銃を舞台上に置いてはいけませんということです。
まぁあくまでそうなったらいいよねって仮定の話で、全てのお話がこうなってる訳ではないし、こうなれば良い話とも限りません。
ただ私としては、脚本上無駄な事は極力排除した方がお話の流れがスッキリ気持ち良くなるかなーとは思いますが(笑)
要は目的があるかどうかが重要って話です。
では本題。以下『ステキな金縛り』の感想をつらつらと。
私が考える「三谷幸喜」らしさ
三谷幸喜さんのお話って、先程の「チェーホフの銃」に忠実というか、脚本上の出来事は全て利用してやるっていう緻密さを感じることが多いんですよね。今回拝見した『ステキな金縛り』も例に漏れず。出てきた設定は極力使う。キャラクターに台本上無駄な事はさせないという、キャラクターへの優しさを感じることができて、私はとても好きです。
タップダンスのくだりなんか分かりやすいかな。キャラクターが踊れる設定があったら、物語で踊らせる機会を作る。公開された設定は全て利用する。キャラクターに無駄な事はさせない。それが三谷幸喜作品の気持ち良さだと考えています。
積上がっていく幸福感が爽やか
今回はキャラクターの設定を開示しつつ、物語の本筋にあった裁判の証拠が徐々に集まってくる感じが爽快でしたね。ここも三谷さんらしいというか。
とにかくテンポが良いんですよ。積み上げて、積み上げて、最後はきっちり丸く収める。見終わった時には爽やかな気持ちにさせてくれる。独特の清涼感だと思います。
ベテランの悪ふざけ
西田さんが演じる幽霊の役なんですが、この見えない事を良いことに、面白いお芝居をするんですよね。そこがなんというか、共演者に同情しちゃうという(笑)
戸田さんはあのお芝居を見ながら真顔だったの、本当にしんどかったんじゃないかなと思います。
会えないからこそいいと思います
最後のシーンはお気に入りです。
お父さんの姿を目にすることができなかったのは、奥ゆかしさを感じさせてくれたなと。ツイてない人が見える事の条件なら、良い事があった彼女は見えなくなるのが必然。でも、だからお父さんとは会えませんでした、とならない。むしろ姿を確認できないからこそ、よりドラマ性が増しているのが、くどくなくて良いというか。良い話として綺麗に纏まった印象でした。
テレビ放送されてましたね
とかなんとか感想書いてたら、昨日テレビで放送されてましたね(笑)
私も見ました。
霊媒師が飛ばされるシーンが全カットだったのがショックだったなー。あそこ面白いのにね(笑)
テレビ見た方も、ぜひノーカットでご覧ください。見終わった後の清涼感が段違いなので、ぜひ。