劇場で流れる予告映像
本編上映前に10分ほど流れるやつです。制作中の作品から、公開日が直近に迫った作品まで、割と幅広く紹介している印象です。
私はこの時間が結構お気に入りです。苦手なジャンルの映像を強制的に見せられるというデメリットもありますが(ホラーとか、サスペンスホラーとか、スペクタクルホラーとか)。この10分間のおかげで、様々な作品に触れられてきました。気になった作品は、本編が終わった直後に劇場でムビチケを買いに行くか、もしくはスケジュール帳に公開日をメモしておくようにしています。
…え?映画館の思うツボ??
HAHAHA、まっさかー(笑)
―そんな企業にとって都合の良い顧客である私が、公開を心待ちにしていたのが、『英雄は嘘がお好き』。
いや予告がもう面白くて。こんなの見るしかないじゃないですかって感じでして。
で、先日鑑賞したのですが、まぁ面白かった。期待通りの作品でした。
『英雄は嘘がお好き』鑑賞
— まるマッコリ (@makkori04155) 2019年10月22日
環境が人を作る
その逆は有り得ない
積み重なった嘘が作る環境が
やがて真実になる事は無くとも
少しの勇気を持てるきっかけには
なるのかも
強かさこそ
人間を逞しく生き長らえさせる
…と思う(笑)
成長する過程を楽しむだけが映画じゃないのよ(笑)#英雄は嘘がお好き pic.twitter.com/tFAfVNB5wF
以下、感想をつらつらと。
絢爛豪華なおフランスの世界
時は19世紀フランスのお話。まぁなんとも煌びやかな世界観なのですよ。映画の冒頭はヌヴィル大尉とエリザベットの朝の身支度からスタートするのですが、これが現実離れしていて非常に良い。
貴族の話なので当然でしょうけど、住んでいるお城といい、着ているドレスといい、とにかくキラキラ。絢爛豪華。如何にもな様相なのですよ。
綺麗なものは、やはり見ていて気持ちがいいですね。
現代を彷彿とさせるエリザベットの在り方
メラニー・ロラン演じるエリザベットの、女性として凛とした姿は、男の私から見てもかっこいいものでした。知性が溢れているというか、時代背景を考えてみても、1人で生きている彼女には、称賛の拍手を送るに値することでしょう。文才にも秀でており、頭のキレる彼女でしたが、「現実に人が死ぬことの恐怖」をきちんと自覚できるところは、さらにすごい。
現実とファンタジーの区別はきっちりつけている彼女の生き方、見習いたいものです…。
クズ男・ヌヴィル大尉
ジャン・デュジャルダン演じるヌヴィル大尉がまぁクズでして。いやークズなんですよ、ムカつくぐらいに(笑)。それでいて飄飄としており、嘘で積み上げられた功績の上を胸を張って闊歩する。その強かさには、蛇にらみで拍手を送れる程です。
そんな彼が将軍の前で戦場を語るシーン。嘘なのか、本当なのか、その真偽ははっきりしませんでしたが、さすがのエリザベットも心をうたれていました。
嘘の功績でも人の命が助かる事にこだわっていたのは、元から有しているプライドでもあり、戦場で叶わなかった願望の表れだったのかも知れません。
2人に成長は無い。だがそれがいい。
結局物語が終わっても、ヌヴィル大尉はダメダメなままだし、エリザベットも特に心境の変化があった訳ではないのですよ。ましてや二人の間に恋心なんて生まれていない。あるのは嘘を共有している共犯関係だけ。
しかしそれがいい。物語の中で登場人物の心が成長していく過程も大好きですが、登場人物がどう困難を切り抜けていくかに注力した映画も、非常に魅力的です。
『英雄は嘘がお好き』はもちろん後者。頑固な二人のいつまでも平行線な関係を、面白おかしく描いています。安易に愛だの情だのに話をまとめず、終始コメディに一貫したところは非常に好感が持てました。
それもこれも映画館に通ったから
この作品に出会えたのって、「映画館に通ったから」なんですよね。毎月のように映画見てたら、偶然にも面白そうな予告に出会った。それが嬉しくて嬉しくて。
あ、話は変わりますが、度々このブログでも紹介させていただいてる結騎さん。映画館で頻繁に通うようになったのも、結騎さんの影響です。おかげで私は、この作品の予告に出会えましたし、非常に面白いものを鑑賞する事ができました。これまでも、そしてこれからも何度も感謝する事でしょう。ありがとうございます、結騎さん。
「映画館で映画を見る」という、最高の娯楽
「映画館でゆっくり映画を見る」って、とっても楽しいんです。整えられた環境で楽しむってのは最高の娯楽なんですよ。
最近鑑賞料金も上がって、劇場で見るのは中々難しいって人も、月1でいいので、興味のある作品を映画館で見てみてくださいよ。きっとその良さが分かってもらえるはずです。
他の物を見る事が許されない環境で、作品だけに集中できる環境で、
家には無い大画面と大音響の中で、好きな作品を堪能する事の快感。
素晴らしいですよ、ええまったく。
加えて、今回の私のように新たな作品にも出会えるかもしれない快感のオマケ付。昨今は検索ワードでクリティカルに欲しいものを手に入れられる時代ですが、そこでは得られない、雑多な情報の中からお宝に出会えるという楽しみもあります。これが中々癖になる。
映画館の新たな形「Dolby Cinema」
最近だと丸の内ピカデリーに「Dolby Cinema」がオープンしましたね。『ジョーカー』をこの映画館で見たのですが、これが非常に良かった。
『ジョーカー』感想で書き漏らした、映画館そのものの感想をここで…。
marumakkoriblog.hatenablog.com
まず色が鮮明。特に黒のレベルがはっきりしており、暗がりのシーンになっても物がはっきりと見えました。
加えて音響。映像空間の中にいるような立体的な音。役者の細かい息遣いまで聞こえてくる程繊細で、思わず息を飲みました。
革張りのシートも柔らかく、比較的広めな設計でゆったりとした姿勢で鑑賞する事ができます。
丸の内ピカデリーの「Dolby Cinema」では、今後『アナと雪の女王2』、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を上映予定。どちらも「Dolby Cinema」の性能をフルに楽しめる作品だと思うので、期待値が高まります。
関東では丸の内ピカデリーの他に、MOVIXさいたまにも「Dolby Cinema」が常設。お近くに住んでいる方はぜひ足をお運びください。
映画館で映画を見て欲しい
…映画を見るために整えられた環境、それが映画館です。「Dolby Cinema」のような、より映画を楽しめる映画館も続々登場しており、ひとたび足を運べば、予告映像という新たな出会いも待っています。「映画館で映画を見る」という楽しみは、案外色んな形が存在するのです。
決して安い娯楽ではありませんが、費用に見合った以上の快感が得られると思います。よければ一度、足を運んでみてください。