まるマッコリの日記(仮)

自分の思ったこと、好きなものを書いていきます。主に特撮やFGO。

まるマッコリの日記(仮)

『フォードVSフェラーリ』鑑賞 プライドを賭けた轟音が、心と体を熱くさせる。

滾る、そんな映画だった

『フォードVSフェラーリ』、鑑賞しました。

フォードvsフェラーリ (オリジナル・サウンドトラック)

www.foxmovies-jp.com

 

 正直車の事はよく分かりません。フェラーリもフォードも名前だけで、どちらにどのような特徴があるかはほとんど知りません。

 それでも、この映画には惹かれるものがありました。予告映像を見る度に掻き立てられる鑑賞意欲。ふつふつと燃え上がる情熱は、爆発するタイミングを見計らうかのように、公開日を今か今かと心待ちにさせました。 

 実話を元にした映画。その展開にああだこうだ言っても仕方ないのでしょう。でも言わせて欲しい。熱かった。とても滾った。映画の為に着色した部分もあったでしょうが、それでも湧き上がるものが、この映画には詰まっていました。

 以下、その思いをつらつらと。

 

 

VS王者 VS会社

 絶対王者に牙をむく。そんな王道にして絶対の物語が、この『フォードVSフェラーリ』。24時間耐久レース「ル・マン」のトップに君臨し続けるフェラーリを、「ル・マン」優勝経験者であるカーデザイナー・シェルビー、技術はあるが我が道を行くドライバー・マイルズ、そしてこの2人を支えるチーム達が打倒していくというのが本筋です。ほとんどノウハウが無いフォードが、シェルビーに依頼するのですが、シェルビーがドライバーとして選んだマイルズと会社の重役の馬が合わず、様々な妨害を受けます。

 この物語のポイントとして、フェラーリだけではなく、会社の重役とも熱い戦いを繰り広げているところ。「会社のイメージ」や「売上」が何よりも大切な重役と、がむしゃらにフェラーリに勝ちたいと現場に立つ技術者との対立も、非常に見どころかなと。男性には、非常に刺さる内容かなと思います。

 『フォードVSフェラーリ』は、技術者と技術者、または技術者と会社という対立関係の中で、人間達がプライドを賭けた戦いを繰り広げる話で、車や会社に歴史的知識が無くても十分楽しめる内容になっていると思います。もちろん専門用語も飛び交ってくる為、知ってる方はさらに楽しめるかと。

フォードvsフェラーリ (オリジナル・サウンドトラック)

フォードvsフェラーリ (オリジナル・サウンドトラック)

  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

支える存在の偉大さ

 我が道を行くマイルズは、その自由さゆえにフォードの重役から反感を買います。しかし彼はフェラーリを超える速さを、純粋に追い求めていきました。

 忖度をしない彼ですが、その陰に支えてくれる存在がいた事は、彼にとって非常に力強い後押しだったと思うんですよ。

 

 まずはシェルビー。彼がマイルズに寄せた信頼や情熱は、マイルズにとっても非常に心強かったんだと思います。会社とか関係なく、純粋に彼が「フェラーリを超えたい」と思い、形にしたからこそ、マイルズも真剣に取り組むようになった。マイルズが蔑むような会社の下で積極的に開発に取り組めていたのも、シェルビーの情熱あってこそだったかなと思います。

 また、奥さんであるモリーの存在も大きい。家計がピンチになっても「レースは続けた方が良い」と後押ししてくれたり、「嘘をつかれた事が嫌だった」と泣いたり、ドライバーを外されたマイルズに黙って寄り添ってくれたり、べったりではないのですが、要所要所で優しく支えてくれています。

 私のイメージでは、燃やす為の薪を投下してくれるのがシェルビー、消えないように小さくなった火を扇いでくれるのがモリーといった感じです。マイルズの情熱をシェルビーが支えていて、マイルズの弱さをモリーが支えている、だからマイルズは開発を進める事ができたのかなと。

ザ・ファイター (字幕版)

ザ・ファイター (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

余談ですが

 マイルズとシェルビーの喧嘩を、遠くでモリーが眺めるというシーン。個人的に1番好きです。この3人の関係性というか、どういう風にお互いが関わっているかが如実に表れていて、鑑賞しながら思わず笑ってしまいました。
 マイルズとシェルビーは、お互いのベストをぶつけ合い、そこに妥協を入れない。そんな激しいやり取りを、モリーは遠くから眺め、やらせるだけやらせておく。危なくなったら割って入れる距離にいながら、結果が出るまで手を出さない。必要とされるまで何もしない。

 何と言ったらいいんですかね…。部活感とでも言いましょうか。競う者達の切磋琢磨を遠くで見守りながら支援する、選手とマネージャーのような関係。結婚して子供がいるような年齢の大人達が、青春してるんですよ。それがもう堪らなく愛おしくて、堪らなく羨ましくて、思わずニヤニヤしちゃうんですよ。いや…非常に良かった…。

 

 

様々な思いが巡るゴール

 レース終盤、会社の指示に従い3台揃ってのゴールを決めるシーン。マイルズの表情には、いろんな思いが駆け巡っていたように思えました。

 最後に最速ラップを更新した事で満足したようにも見えましたし、これまで迷惑をかけたシェルビーの顔をたてたかったようにも見えました。同時ゴールを選んだのは、これから先もシェルビーと開発を続けていきたいと、ドライバーとして遠くを見た結果なのかもしれません。

 優勝を逃して怒り落ち込むシェルビーをなだめ、次の開発の為に意見を交わす2人の姿には、非常にぐっと来ましたね。後ろで今を喜ぶ人達を気にする事なく、未来の事を話しながら去っていく構図が眩しかったというか、なんとも職人の色香が立ちめくシーンだったと思います。

オデッセイ(字幕版)

オデッセイ(字幕版)

  • 発売日: 2016/04/22
  • メディア: Prime Video
 

 

 

唸る・轟く・流れる

 何と言っても劇中の走行シーンが良い。実に良い。車には疎いので細かいところまでは分かりませんが、会場に響き渡る音や映像が、全身に緊張感を走らせます。唸るエンジン音、轟く走行音、秒で流れる風景。時折ギアチェンジの描写を挟みながら、時に静かに、時に熱く繰り広げられる駆け引き。その全てが、私をレースへと没頭させるのです。

 音や画面で、あたかも自分が運転しているかのような錯覚に落ち、私の体は、いつの間にか熱くなっていました。掌は汗でしんわりと濡れ、気が付くと遠くの景色を眺めている自分がいるのです。視覚だけじゃない、気持ちだけでもない。持てるもの全てで、男たちの挑戦を感じようとしている自分の姿が、そこにありました。

 おそらく映画館という環境だからこその臨場感だったと思います。全身を包み込むような爆音と、視界を覆う程の大画面。この映画の為に整えられた環境が、作品への没入感を作り上げていたんだと。

 「映画館で見る映画は面白い」と時々このブログでも呟く事があるのですが、今回の映画が、いつも以上に「劇場で見た方が良い映画」だったのは、間違いないと思います。

『フォードvsフェラーリ』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)

『フォードvsフェラーリ』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: ムビチケ
  • メディア: Video Game
 

 

 

技術を磨き邁進できる人を羨ましく思う

 4DXなどの体感型映画も続々と公開されている昨今ですが、この映画は通常上映でも4DXの迫力に匹敵する臨場感だったと思います。鑑賞後しばらくは興奮冷めやらぬ状態でした。2020年始まって早い段階でこんな映画を鑑賞できたのは嬉しかったな…。さっそく年末のランキング候補です。

 技術を追求するというのは、非常に憧れます。仲間と共に歩む事も、時には仲間と争う事も、全てひっくるめて羨ましい映画だったなと。マイルズやシェルビーの様になれればなと思うばかりです。

 …時間見つけてまた映画館行こう。

フォードvsフェラーリ 伝説のル・マン

フォードvsフェラーリ 伝説のル・マン

  • 作者:A.J.ベイム
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/09/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)